くらし情報『靴磨き歴50年のおばあちゃん“指紋が消える”ほどの仕事の流儀』

靴磨き歴50年のおばあちゃん“指紋が消える”ほどの仕事の流儀

「指の汚れは、もう気にならない。洗えば、けっこう落ちるし。指紋も、50年もやってれば、消えても仕方ないわね(笑)」

かつては、戦災孤児たちが生き延びる手段として、銀座、新宿、池袋などの路上で靴磨きを始め、終戦から10年後には、『ガード下の靴みがき』なる大ヒット曲もあった。

中村さんもまた「生きるため」に始めた靴磨きだったが、彼女が新橋にやってきた’71年といえば、前年に大阪万博も催され、日本が戦後の復興を、しっかり形にしつつあったころ。

以来、半世紀にわたり、バブルも、バブル崩壊も、東日本大震災のときも、路上から、ニッポンが変わっていくさまを見続けてきた。

「震災のときでさえ、汚れた靴を磨いてほしいという人がけっこういましたから。とにかく広場から人の姿がすっかり消えたというのは、今度のコロナの緊急事態宣言の期間が初めて。でも私は、一人でもお客さんがいる限り、ここに座り続けるだけ。
さっ、終わりました、おつかれさま。これで、大丈夫!」

シュッシュッと小気味よい音を立てながら最後の仕上げで靴を磨き終えるまで、ざっと20分。お代は500円ポッキリの、明朗会計だ。

「お客さんは、多い日は30人くらいで、平均すると20人前後。

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