念願の青春を手にした“81歳の高校生”人生で初めて夢を持てた
『お月さん、明日もよろしくな』ってねぇ」
少し遠い目になった。
「学生証も持ちました。生まれて初めて学割で定期も買えるし、映画も見られる。同級生と『お茶行こか』って。ランチルームからハンバーガー屋を、『お茶でハシゴやな』のときもありましたね」
勉強も楽しかった。
「授業では、英語もパソコンもやります。どちらも人生で初めて学ぶことでした。得意なのは数学。
ずっと商売で、お金の計算やってたからやろか(笑)」
大変だったのは、やはり漢字。
「書き取りが大変で。読めても、なかなか書けない。いまだに難しいのは『劇』という字やね(笑)。何よりうれしかったのは、担任をはじめ先生たちが、とにかく優しかったこと。わかるまで、手取り足取りで教えてくれはる。だから、私もどんどん質問できました」
授業の合間の20分の休憩時間に、ランチルームで友達とおしゃべりするのが、また、楽しい。
「学ぶということは、一つ一つ、ものごとがわかっていくこと。
入学前はチンプンカンプンだった新聞も、辞書とにらめっこしながら、まぁまぁ読めるようになった。そんなとき、少しだけ前進したなと感じるんです。それが楽しい」
昼間の生徒との交流会もあった。