念願の青春を手にした“81歳の高校生”人生で初めて夢を持てた
「交流会で、孫やひ孫のような若い人から『夢はなんですか』と聞かれて『えっ、夢?』って思ってね。それこそ働きづめで、夢なんてこと、考えませんでしたから。夜間中学に来て初めて夢について考えて。80歳近くなって、夢もないやろと思いながらも考えてみたら、高校に行きたい。できれば大学も行ってみたい。自分はどこまで行けるんやろ、と。そんな希望が芽生えましたねぇ……」
村田さんは納得いくまで夜間中学に通い、昨年3月、卒業した。
「本当に幸福な時間で、楽しくて、気がついたら9年間、通ってた。
皆勤賞といきたかったけど、4年前にインフルエンザで1週間休んだのが、1回きりの欠席でした」
卒業式には、着物を着て、髪を結って出席した。
4月からは大阪府立寝屋川高等学校の定時制に進学。夢を実現したのだ。
「中学と違うのは、とにかく周りが若い人ばかり。10代のなか、80代は私ひとりです。ただ、入学してすぐ、後ろの席の男子と仲よしになってね。『オバチャンいうたら、どつくで!』という最初の会話で打ち解けた。ツカミはオッケーいうやつやね(笑)」
コロナ禍の緊急事態宣言で、登校できたのは6月からだったが、高校生活も充実しているようだ。