念願の青春を手にした“81歳の高校生”人生で初めて夢を持てた
「いちばん困るのが、中学と違って、授業によって教室が変わること。移動時間も5分くらい。場所もようわからん。遅刻やぁって困っていたら、仲よしの男のコが『村田さん、こっちやで』と、連れていってくれるようになりました」
孫のような生徒たちの恋愛相談に乗ることもある。クラスの女子とハンバーグを食べに行くのも楽しみだ。村田さんの世界が、またひとつ、広がった。
■高校卒業後は編み物の機械編みに挑戦したい。人生は何歳からだって夢を持って輝ける!
村田さんには登校前、必ず寄る場所がある。
自宅近くのたこ焼き店「かどや」だ。店頭のベンチに座って、6個100円のたこ焼き2皿と缶コーヒーで、腹ごしらえをして登校する。それが夜間中学のときから続くルーティンだ。
「学校はどないですか?」
と、店主に聞かれた村田さん。
「高校のコたちはみんな、多感なころだし、先生に盾突くコもおる。そんなときは私が『静かにしいや』と。そんな役目もあるかな」
店主夫妻とたっぷりおしゃべりを楽しんでから、駅に向かう。高校は学割の定期での電車通学だ。
授業は午後6時5分から9時20分まで。夕飯は帰宅後だ。だから、登校前のたこ焼きは外せない。