2021年9月13日 11:00
教師の性暴力を母に告白し叱られ…28年苦しみ実名で戦った被害者
その教室の情景を想像して、黙っていられなくなったのが、私が提訴に至ったいちばんの理由です」
長い長い戦いの始まりだった。そして石田さんの勇気は、冒頭に述べた通り教師Aを懲戒免職へと追いやり、多くの被害者を救う教師等の性暴力から児童・生徒を守る新法設立への大きな後押しへとなったのだ。
■実名で顔もさらして戦った石田さんは、被害者の立場で発信を続けている
「狭いうえに散らかっていて、ごめんなさい。これでも必死に片づけたんですが(笑)。4年前から、ずっとこの6畳一間で、ご飯も仕事の写真処理も行ってます。さあ、まずは冷たい麦茶でも」
都内にある石田さんの自宅兼仕事場を訪れたのは8月の猛暑の日だった。カメラ機材や性暴力に関する書籍などがぎっしり置かれているなかから、記事で使用するアルバムや写真などを探し出してくれる。
「中学の卒業アルバムは、ずっと見られなかった。
ようやく最近です、見ても平気になったのは。ああ、この人が、その教員です。おかしいと思いませんか、私の写真はいろんなところに出ているのに、加害者であるAの顔は誰にも知られていないというのは」
それまでにこやかに対応してくれていた石田さんの表情が一瞬、翳る。