2021年9月13日 11:00
教師の性暴力を母に告白し叱られ…28年苦しみ実名で戦った被害者
その特異な関係性に気付くのは、もっとあとになってからだった。
「教師と生徒。その絶対的な支配関係があって、一緒にいる間は、私は人形のようになっていたと思います」
高校は、進学校として知られる地元の公立校へ。
「その後も、海に車で連れていかれて車内で上半身裸にされることがあったりして、私は罪悪感を持って家に帰るんです。誰にも話せず、自分の中に不安がたまっていくだけ。その分、必死で勉強しましたね。性的な被害を受けて精神が揺らいでいたので、確実に結果の出る勉強という安心にすがっていたのだと思います」
卒業後には地元の一流大学へ合格でき、美術史を専攻することとなった。しかしそのころ、教師Aとの関係性に一つの大きな変化が。
「私が大学生になると、教員から直接の性行為を求められるようになるんです。私自身はずっと感情をなくしている状態ですから、怖くもないし、楽しくもない。ただ、性交がうまくいかないんです。私が受け入れる状態になれない。不感症というものじゃないかと疑ったこともありました。ただ痛いばかりで、『痛い、無理です』となっていました。
のちに取材などで、『彼が痛くなくなるような工夫は?』と問われて、初めて気付くんです。