2021年10月11日 11:00
パラ開会式で国歌 佐藤ひらり「夢を叶えるには言い続けること」
「『なんでそんなこと、言われなきゃならないのよ!』って。メラメラ火がついた感じ。くっそー、絶対、なんとかしてやるって」
当たって砕けろとばかり、手当たり次第に動いた。保育士向け勉強会に、無理やり参加したことも。
「そこで知り合った先生のいる保育園に、ダメもとで遊びに行って。そのときはもう、いい子にしてるの疲れてしまって。ほかの子みたいにお行儀よくしなくていいやって、ひらりと2人、泥まみれになって遊んでたんです。そうしたら『え、目が見えない子なのに、そんな大ざっぱな感じでいいの?』って驚かれて。
『だったら、うちに来る?』って言ってもらえたんです」
やっと入れた保育園で、ひらりさんの才能が開花する。教室にあった自動演奏機能付きの電子ピアノ。そのデモ演奏を聴いた瞬間、ひらりさんの表情に変化があった。
「すごく興味を持ったものに触れると、ひらりは白目をむくクセがあって。デモ演奏で美空ひばりさんの『川の流れのように』を聴いた途端、そのクセが出たのを、先生が見逃さずにいてくれて」
本人も、その瞬間を覚えていた。
「うまく言えないんですけど、なんか曲に自分が呼ばれているような感じ。ふわ?っとした気持ちになって、曲の中に自分が入っていく、そんな気がしました」