2021年10月11日 11:00
パラ開会式で国歌 佐藤ひらり「夢を叶えるには言い続けること」
保育士は「ひばりさんの歌が好きなのね」と、CDをたくさん聴かせてくれた。
「聴いてるうちにこの子、ひばりさんの曲をピアノで、1本指で演奏し始めたんです」
絵美さんは、娘が生後6カ月のころから手を付けず蓄えていた障害者手当で、アップライトのピアノを買い与えた。ひらりさん5歳のときだ。そして、同じ年の11月、彼女は初の“ステージ”に。
「コンサートを開いたわけじゃないんです。老人ホームのボランティア募集の記事を読んだら、そこに『お話でも、歌でも慰問大歓迎』って書いてあって。私、すぐ電話したんです。『うちの子、目は見えないけど歌はわりと上手です。
行っていいですか?』って」
快く迎えてくれた老人ホームで、ひらりさんは大好きな美空ひばりや、童謡を数曲、披露した。
「そしたら、おじいちゃん、おばあちゃんたち、とっても喜んでくれて。なかには涙を流してる人も。そして、ひらりに向かって『ありがとう、上手だったよ、またおいで』って声をかけてくれて」
絵美さんは「これだ!」と思ったという。
「いつも『ありがとう』を言うのは私たちのほうだったから。ひらりが歌うと『ありがとう』が返ってくるんだ、って気づいたんです。