2021年11月14日 06:00
「つっぱり棒」作る3代目社長 夫婦二人三脚で業界トップを守る
『お前がやれ!』って皆、心の中で怒鳴り返してたはずです」
イライラばかりが募って、竹内さんが自ら社に引き入れた若いスタッフを会議中に罵倒し、辞められてしまったこともあった。
「いま振り返ると、肩に力が入りすぎてました。女性だからとなめられたくないとか、経験もないのに意志決定する立場にいる気負いとか。ただただ虚勢を張っていたんだと思います」
それでも、15年1月1日。竹内さんは社長に就任。健康を回復した父は会長職に就いた。
■夫の入社が転機に。徐々に社長としての仕事に余裕が出てきた
社長就任直前にも大きな転機があった。
一紘さんが県庁の職を辞して平安伸銅工業に入社したのだ。
「夫はずっと公務員を続けるつもりでした。結婚のとき、夫は私の祖母から『中小企業の経営は浮き沈みが激しい、覚悟しときいや』と言われて。生活の安定のため、公務員という堅い仕事で家庭を支える、そう言ってくれてたんです」
しかし結婚当初から、妻は仕事に追われ、疲れ果てていた。一紘さんが言う。
「僕は普通に有休も夏休みもありましたけど、妻は土日も仕事。以前は休日に2人でおいしいものを食べ歩くのが楽しかったのに、それもできなくなって。