くらし情報『89年間ゲイを隠して西成へ カムアウトし見つけた「家族」たち』

2021年12月5日 06:00

89年間ゲイを隠して西成へ カムアウトし見つけた「家族」たち

「僕ね、小学校しか卒業してないの。なんでか言うたらね、学校の先生が口を滑らしたんはね、『お前は私生児やから試験受けてもきっと受からんやろ』って。実際、先生の言ったとおり、あかんかった。だから僕は小学校6年間でおしまい。中学校も高校も行ってへんの」

小学校卒業後、「満洲電信電話」に就職した長谷さんは、1年間の訓練所生活を経て43年、戦時下の満州(現・中国東北部)に。14歳の春だった。

「当時の満州は、僕みたいな若いの、多かった。僕は訓練所で電気通信、トンツートンツーの技術を身につけたから、新京の中央電報局で働いた。
満州はええとこやったよ。最初は平和やったしね」

ところが、戦況は徐々に悪化。そして、45年8月15日――。

「日本が負けて、周りには泣きだす人や項垂れる人もおったけど、僕は別にショックではなかった。当たり前やな、そう思ってた」

後年、長谷さんは自らの生い立ちを私小説という形で出版。そこには、その日のことがこう記されている。

《あたしは踊り上がって喜んだ(中略)満州の空の下、こんなにうれしいときがくるなんて、死なないですむときがくるなんて……》

戦後、進駐したソ連(当時)

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