くらし情報『夫・椎名誠も舌を巻く“冒険家”で作家の渡辺一枝さん「チベットの鳥葬に父の最期を重ねて」』

2022年3月11日 11:00

夫・椎名誠も舌を巻く“冒険家”で作家の渡辺一枝さん「チベットの鳥葬に父の最期を重ねて」

チベットに思い入れが深い渡辺一枝さん。写真は自宅にて(写真:落合由利子)

チベットに思い入れが深い渡辺一枝さん。写真は自宅にて(写真:落合由利子)



「“一枝”と書いて“いちえ”と読むんです。ハルビンで戦死した父が付けてくれた唯一の形見です。私らしい名前でしょう」

そう言ってほほ笑む作家の渡辺一枝さん(77)。同じく作家で冒険家でもある椎名誠さんの妻でもある。

「おっかあ(妻)は僕よりすごい」と、椎名さんも太鼓判を押す冒険家で、旧・満州やモンゴル、チベットなどへ旅を重ね、その体験を綴った書を何冊も出版してきた。一枝さん。
知り合いはみんな、親しみを込めて、「いちえさん」と呼んでいる。

■募る、出生の地・ハルビンへの思い

一枝さんは、’45年1月、旧・満州のハルビンで生まれた。

両親とも反骨精神のある人で、父は学生のころ、帝国主義を押しつける教師に反発して退学。母は教師だったが、軍国教育に嫌気がさし、教師を辞めて旋盤工場の労働者をしていた。そんな両親は日本の侵略地だった満州に渡る。

ハルビンで出会ったふたりは’41年12月に結婚。3年後に一枝さんが誕生し、これからというとき父に召集令状が届く。

「父は、出征の朝、『この戦争は、じきに日本が負けて終わる。

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