2022年4月3日 06:00
9歳で『足を切る』と決め…義足のアーティスト「母に恨みない」
「ちょうどそのころ、母が現在の父と交際を始めて。システムエンジニアだった父にパソコンのこと、教えてもらったんです。自分の文章やイラスト、義足に描いた絵の写真なんかをアップしてました」
だから高校時代、学校に友達はいなくても寂しくなかった。
「友達はネットの世界に大勢いました。しかも、世界中に。彼らと毎日、ネットを通じておしゃべりできたから、満たされてましたよ」
幼少期から続けた針仕事、それにインターネットが、彼女をアートの世界にも導くことになる。
「高校では就職試験に向けた小論文の授業があって。毎回、時事問題が提示され『これについて述べよ』と。
そこには『こう書かないとだめ』ってルールもある。でも、私は『自分の思いを書かないと意味がない』って思ってた。ただ、授業の時間内に自分の思いを言葉にすることが、なかなかできなくて。仕方なく毎回、白紙で出してたら『これでは単位はあげられない』ってことになってしまって」
すると、ある教師が手を差し伸べてくれた。
「私、絵を描いた義足で学校にも通っていて。美術部の顧問もしている進路指導の先生も、そのことを気にかけてくれていたみたいで。『義足の絵のことなら書けるんじゃない?小論文の練習と思って書いてみたら』と助言してくれたんです。