2022年4月3日 06:00
9歳で『足を切る』と決め…義足のアーティスト「母に恨みない」
それで、思い切って書いてみると、たまたま先生のもとに来ていた公募展の募集要項に、その文章がちょうどいいということになって、応募することになって」
公募展というのが「群馬青年ビエンナーレ」だった。彼女の綴った文章は見事、書類審査をパス。
「次は『作品を提出してください』と。作品なんて作ったことないのに。慌てて近くのホームセンターで材料買ってきて作りましたよ。そしたら、その二次審査も通ってしまって、最終的には奨励賞までいただけることになって」
審査員の1人は「今日からきみはアーティストだ」と、背中を強く押してくれた。でも、押された当人は依然、就職希望だった。
「就職したかったんですけど、私の場合、障害者手帳一級を持っていて。
それを伝えると、どこも雇ってくれないんですよね」
当時、地元の中小企業の多くは、片山さんを雇うためのバリアフリー対応ができていなかったのだ。
そこで、片山さんは公募展受賞をたよりに美学美術史学科のある群馬県立女子大学に進学。さらに、東京藝術大学大学院へと進んだ。
「学生時代は作品制作のほかに音楽活動や、頼まれてモデルの仕事をすることもありました。それで、藝大大学院まで行ったんですけど。