2022年6月19日 06:00
50分のお手伝いで1食無料の大人気食堂!食品ロス0で黒字の秘訣
「これなら好きな量を食べられていいわね」と、うなずき合った。
そこに間髪入れずに、セロリのスープが出てくる。
「すみません。スープ、おかわり」
「おひつのご飯、なくなりました」
カウンターのあちこちから、別の声も飛ぶ。
コロナ禍で、テークアウトのみの営業や休業を強いられたこの2年余り。ゴールデンウイーク明けから、8席に減らしていた客席を12席に戻し、未来食堂にはコロナ前の活気が戻ってきていた。
ユニークで温かく、大人気の未来食堂。小林さんがお店を開くに至った根幹は、どこにあるのだろうーー。
■歌舞伎町のバー勤めの時代、皆で大鍋料理を食べて涙が。「食の場で人の存在する尊さに」
小林さんは、1984(昭和59)年5月16日、大阪府で生まれた。
「せかいは、両親がつけてくれた本名です。よく『せかい食堂』って間違われますね(苦笑)」
弁護士の父と自宅で塾を経営する母、妹の4人家族。地元の公立小学校を卒業後は中・高と神戸女学院に通う感受性豊かな少女だった。
「生きていること自体、肩身が狭く感じていた中3の2学期でした。学校の帰り道、小説の続きを読みたくなって、初めて一人で喫茶店に入って、ココアを頼んだんです」