シンガー・ソングライター小椋佳 もう燃え尽きた…でも、余生も愛燦燦
50年以上に及ぶ輝かしい音楽人生を締めくくったのは、’21年11月にスタートしたファイナルツアー「余生、もういいかい」の42公演目となる最終日、1月18日。所属事務所社長をつとめる長男家族など、孫を含めた大勢の親族たちも会場に応援に駆けつけた。
「やっぱり、孫が来てくれるとうれしいですねえ。家内にとっても特別な日だから、10年ぶりくらいに着物を着たそうです」
ゲストの中村雅俊や堀内孝雄らがリハーサルにのぞむなか、小椋が喫煙室でたばこ休憩をとっていると、小さな孫がのぞきにやってくる。
「へえ、これから何か食べにいくんだ。行ってらっしゃーい」
その様子は、まさにおじいちゃんだが、本番時間が迫り、黒いスーツのステージ衣装に身を包み、サングラス姿になると、「小椋佳」に変身する。
「こんな老いぼれのために、4千人近くの方にお越しいただいている。あの幕が下りたら、感無量になって涙が出るかもしれない」
コンサート前にこう語っていた小椋。
舞台袖から、これまでの音楽人生を彩る眩い光に包まれた最後のステージに、歩みだした。
■妻には「なんで57歳にもなって、夫に捨てられなきゃいけないんだ」と泣かれた
数々のヒット曲を生み出す一方、銀行の仕事には、40歳を過ぎたころから疑問を持ち始めたという小椋。