2023年3月5日 06:00
入居者も介護者もひとつの家族“理想的なついのすみか”「ぽらりす」
しかし、貧しい家の事情を知る岡田さん、「高校に行きたい」とは、なかなか言い出せなかった。
「そんなとき、中学の先生が教えてくれたんだ。『岡田、昼間働いて夜、通える高校があるぞ』って」
こうして岡田さんは、県立高校の夜間部に4年間通った。
「昼間、働いてためたお金で、本当は保育を学びに短大に進みたかった。だけど、こんな私でも『好き』って言ってくれる男が現れてさ。しかも、貧乏なうちみたいなとこに『婿に来る』とまで言ってくれて。それで高校卒業後、19歳のときに結婚したんだよね」
長男、次男と子宝にも恵まれた。しかし、次男を妊娠中に、夫の女性問題が発覚し、岡田さんは実家に。
28歳で正式に離婚した。
「養育費もなんもくれなかったから、私が働くしかないじゃん。パート勤めもやったけど、あのころ400円ぐらいだったかな、時給。とてもじゃないけど子ども2人、育てていくのは無理だよね」
そこで、岡田さんは土浦一の歓楽街・桜町に足を踏み入れた。「嫌だったな〜、最初は、水商売。始めたころは、お客さんに手を握られたりするの、本当に嫌だった」
子どもを育て上げるため、と覚悟を決めた母は強い。4坪半の小さな小料理屋を皮切りに、もうけを出しながら、店の規模を次々と大きくしていった。