「サブカル少女が、お笑い猛獣の檻に放り込まれた」清水ミチコ 挫折と転機の『夢で逢えたら』
タモリさんにもかわいがられたし“すごいな、自分。ここまで上り詰めた”って、すっかり天狗になっていました」
こうして長く伸びた鼻をへし折ったのは、若き日のダウンタウンやウッチャンナンチャンが出演した、’80年代を代表するバラエティ番組『夢で逢えたら』(フジテレビ系)だ。
「チヤホヤされていただけのサブカル少女が、お笑い猛獣の檻の中に放り込まれたような感じ。私は今も昔も、事前にネタをしっかり作り上げるスタイルですが、あの番組ではバンバン、アドリブが飛んでくるんです。その応酬に適応できず“今日も一言もしゃべれなかった”って落ち込む日々でした」
収録の日は胃が痛くなるし、スタジオに行く足も重くなった。「ある日、私が部屋に入るとスタッフがパッと何かを隠したんです。トイレに行く隙に隠したものを見ると、子供の手紙で《清水ミチコさんは、今日もやる気がありませんでしたね》と書かれていました。子供にも見抜かれてると思うと、立ち直れませんでした」
夫も、当時を振り返る。
「みんなの輪の中に入って、何か言うんですが、声が小さくて聞こえないんです。それで隣の人が、妻と同じことを大きな声で言うと、すごくウケる。