7浪して53歳で医師に! 貴子先生語る「小中学校ではずっとクラス最下位でした」
女性患者の顔から当初の不安げな表情は消え、笑顔で続ける。
「診察もていねいだし、何でも話せる貴子先生が大好きだよ」
その後も、血圧測定や服薬の指示など1時間弱の診察を続け、
「また来ますからね。お大事にしてください」
往診用のカバンを手に車まで向かいながら、貴子先生が言う。
「私が話しやすいというのは、きっと娘さんと同世代だからでしょう。私自身も、自分の母親と会話するような気持ちで向き合っています。今日のように、患者さんが元気になる姿に接するたびに、ああ、医師になってよかったと思うんです」
快活な口調で話す貴子先生は、異色の経歴の持ち主だ。58歳にして、まだ医師歴5年というキャリアが、その事実を物語る。
医師を目指したのが32歳のとき。
その後、7浪して40歳で医学生となり、3人の子供を育てながら、53歳で医師免許を取得した。当時をふり返って言う。「小中学校を通して成績もずっとクラス最下位だった自分が、まさかお医者さんになるなんて、夢にも思っていませんでした」
意外にも、少女時代の貴子先生は、「劣等感と孤独感のかたまり」だったというのだ。
■「劣等生だった小学校時代。東京での生活に疲れ、郷里に戻り……」