専門家が警鐘を鳴らす「“再稼働”で危ない全国の原発」前編
「日本は地震国ですから、世界のどこの国より厳しい規制基準が適用されないといけないはずですが、原発の再稼働を急ぐあまり、国も電力会社もリスクを過小評価している可能性があります」と警鐘を鳴らすのは、北海道大学名誉教授で地球環境科学が専門の小野有五さんだ。
昨年、川内原発1、2号機(鹿児島県)と伊方原発3号機(愛媛県)が再稼働。今年に入り、高浜原発4号機(福井県)が5月17日に再稼働したばかり。6月には高浜3号機、夏には玄海原発3、4号機(佐賀県)と、再稼働ラッシュが続く。
再稼働するには、原子力規制委員会(※)が、「世界最高水準」と豪語する原発の“新規制基準”の審査に合格することと、立地自治体の合意を得ることが必要だ。しかし審査に合格した原発は、本当に安全なのか。
というのも福島第一原発事故の避難者が起こした集団訴訟で今年3月、前橋地裁は「事故は東電と国が津波対策を怠っていたことにより引き起こされた」として、東電と国に賠償責任を求める判決を下したからだ。冒頭の小野さんの指摘のとおり、事故前と同じように国と電力会社の事故対策に問題があるならば、再び大参事が起きかねない。