長女の誕生日にシリアへ…戦地の女性の刺繍作り支援する考古学者
が中心となり、仲間と立ち上げた。
山崎さんは広島大学文学部史学科で考古学を専攻し、さらに大学院在学中の’83年、初めてイラクでの移籍発掘に参加。
「私、どんくさくて、遺跡の測量の水準器を蹴飛ばして、『また、お前か』なんて言われてましたね(笑)。ただ、“いま、掻いている土は私が最初に見ている”と思うとロマンを感じて、どんどんのめり込んでいきました」(山崎さん・以下同)
大学の同級生と学生結婚したのが、イラク行きの直前。’87年には長女の奈々子さん(29)が誕生し、子育てにも奮闘していたときだった。奨学金を得て、中東の発掘調査へ参加できることになった。
「本当はもう一度イラクに行きたかったんです。ただ、イラン・イラク戦争の真っただ中でしたから、仕方なくシリアへ変更に。
ほとんど国に関する知識はありませんでした」
こうして、はからずもシリアとの縁が生じるが、唯一の心残りは子どものことだった。
「娘は実家の両親に預けることになりましたが、自分の意志を通していいのかと、強い罪悪感を感じていました。