林家木久扇×林家きく姫 師弟で語る“男社会”ならではの苦労
でも師匠が落語家だという認識はなくて……」
入門後は順調に仕事が増えていったものの、男社会である落語界では戸惑うばかりだったというきく姫。根は明るい彼女も、よく落ち込んだという。
きく姫「師匠のおそばにいるだけかと思ったら、寄席で高座のお手伝いもしないといけないんです。そこにはいろんな師匠や先輩がいらして……」
木久扇「おじいさんだらけ、みんな介護しなきゃ」
きく姫「あはは。そこで師匠方の着替えを手伝ったり、お茶をいれたりするのですが、お茶はただ出すのではなく、一人ひとりに薄いお茶、ぬるいお茶、濃いお茶と好みがあって、それを全部覚えないといけない」
木久扇「相手に聞いちゃいけないの。そんなことしたら、気が利かないって言われちゃう」
きく姫「それにご挨拶しても「きく姫ちゃんはいつやめるんだい?」とか言われて、悔しくて悔しくて」
木久扇「落語の世界は新人を褒めたりしないからね。『よろしくお願いします』『そう、チビだね』とか。