辻仁成×室井佑月“シングル家庭”でたどり着いた親のあり方
そんな環境から、生まれてくる作品があるんです。
室井 それじゃ辻さん、ダメです!そんな落ち着いて、丸くなっている辻さんより、いつも恋愛していて、尖っている方がいいもの。
辻 いやいや、恋愛しないと本が書けないような作家にはなれないし、時代が違います(笑)。
室井 (納得していない様子で)辻さんは優しいからな。
スリリングな展開になった対談だが、2人が強く共鳴しあったのは、子供を育てていく上で才能や個性をいかに伸ばすかということ──。
室井 うちは中学生から全寮制の学校に通わせているんです。寂しいけど、親離れできる訓練をしておいたほうがいいかなと。ずっと一緒にいたら、どうしても束縛してしまいますから。
息子はどんなところでも自分の居心地のいい場所を見つけてこられるのが長所。その力をひたすら信じています。
辻 たくましいな。僕も息子の発想や行動を邪魔しないように気をつけています。先日、家で友だちとコンピューターについて話し合っていた息子に「晴れているんだから、外で遊べば?」と言ったら、「パパの時代は外に原っぱがあったけど、僕らの時代はコンピューターのなかに原っぱがあるんだよ」