若手実力派・岸井ゆきのがガンジス川ロケで感じた“生と死”
折しも、熊本地震の直後であった。
「地元の方が明るく、頑張って楽しい映画つくってよって。熊本は馬がおいしいからと、カレーとか馬刺しとか、たくさん差し入れしてくださって。記録的な炎天下だったんですけど、忘れちゃうぐらいパワーをもらいました」
祖父の葬儀の後、吉子はインドを一人旅する。そこは生と死が寄り添う土地でもある。
「ガンジスを船で渡ると、近くの火葬場から髪の毛の焼ける臭いがして、これが人の亡くなったときの臭いかと。川を見ると牛の死骸が浮いてるし、ちょっとすごすぎる!って。でも、それが普通で死がそこまでマイナスじゃない。
最後の吉子の表情は、あの場所でなければ出なかったかな」
インドロケを終えた岸井は、あることを実行したという。
「ガンジス川縁に住む人が、土器に入れたチャイをふるまっていて、最後のカットがOKになった瞬間、飲ませてください!と(笑)。飲んだら、自然に返す意味で土器を割るんですけど、どうしてもそれがやりたくて。チャイも本当においしかったです!」
ひたむきさの中にも飾らない笑みがこぼれる。きっと現場で愛される女優であろう。
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