東ちづる“生きづらかった”過去、母に「裏切られた」と…
『生きていて何の意味があるんだろう』とか」
――東さんは、1960年、広島県因島市(現・尾道市)に生まれた。造船関係の仕事をしていた父25歳、会社員の母21歳という若い共働き両親の初めての子どもだ。
「母は、子育て本を読みあさって、それはもう一生懸命に私を育ててくれた」
“女のたしなみ”として常に薄化粧をし、家族にも素顔を見せないしっかり者の母親である。幼い東さんは毎晩、本の読み聞かせをしてもらい、小学校に上がるころには、自分から2歳年下の妹に読み聞かせをした。
「母から『1番がいいのよ』『優しい子がいいのよ』『ちゃんとしなさい』と教えられて、子どもってやっぱり親に褒められたいですから、応えちゃうんですよ。そうしたら『いい子ね。つぎも頑張ろうね』って言われて、また頑張って」
教師たちからも一目置かれ、もちろん成績はずっとトップクラスだった。当時の東さんは、周囲の期待を感じてなんとなく教師を目指していた。
しかし広島大学の教育学部を受験して失敗。その通知を受け取ったときの母親の言葉が忘れられない。