東ちづる“生きづらかった”過去、母に「裏切られた」と…
骨髄バンクのことを多くの人に知ってもらいたいんです。啓発のためのポスターを作ってください》
少年の家に電話をしたとき、電話口に出た父親とは、さしたる話もできなかったが、その後、彼の妹から分厚い手紙が届いたのである。
「読んで、最初は無理だと思ったんです。私はノーギャラでいいけど、ポスターを作るには多くのスタッフの力やお金が必要です。でも、『お兄ちゃんに死んでほしくない。治療法はあるんです』という文面に動かされて」
東さんは仕事で親交のあるカメラマンなどクリエーターたちに声をかけた。すると、一流のプロたちが二つ返事で快諾してくれたのである。
「そのうえ、撮影スタジオ代や印刷代なども、みんなでカンパし合って、ポスターが完成したんですよ。
この経験で私は、お金がなくても、利益や利潤につながらなくても、人は誰かのために動いてくれるということを知りました」
それはまさに、いまの東さんの活動の原点だった。以来25年、東さんが関わってきたボランティア活動・社会活動は多岐にわたる。「あしなが育英会」。障害者アーティストを応援する団体。