特別養子縁組で「母」になって。元TBSアナ・久保田智子さんが「ちゃんとしたママ」の呪縛から自由になったとき
それぞれの「生みの母」には、病気や経済的な問題など様々な事情があるにもかかわらず、「私は子どもを特別養子縁組に出しました」ということはなかなか言えません。だから「生みの母」の思いや状況は知られていません。なぜ言えないのかというと、周囲から責められかねないからです。
すると、どういうことが起こるかというと、子どもを産んだのに育てないのは「自分勝手なんだ」「甘えがある」などとさらに誤解されてしまう。「自分勝手」と表現するなら相手の男性はどうなのかと思いますし、「甘え」などではなく本当に困難な状況があるのに……。そうして、さらに声があげられなくなるという悪循環です。
ーー確かに「養親」以上に「生みの母」の話を聞く機会は非常に少ないと思います。
久保田本来なら特別養子縁組を選択肢に入れることができたはずの人が、制度を知らないため、また周囲から責められるなどの理由で、困難な状況下で出産・子育てし、追い詰められているケースもあるのではないか……と思います。
ですから、特別養子縁組をするしないに関係なく、多くのみなさんに当事者の声を聞いてほしいのです。
ーーそれは本当に大切なことですね。子どもたちを守るためにも広く知られてほしいことです。