「血が、汗が、涙がデザインできるか」 伝説のデザイナー石岡瑛子の世界初の回顧展をレポート!
彼女は自分自身の人生や出会いも自らのクリエイティブを武器に切り開いていったのだ。
『M.バタフライ』(1988年)
石岡瑛子は初めてのブロードウェイの仕事であったにもかかわらず、『M.バタフライ』で舞台美術とコスチュームの2部門でトニー賞にノミネートされる。
フランシス・フォード・コッポラ『ドラキュラ』の衣装(1992年)
さらに、『地獄の黙示録』日本版ポスターを手がけた縁で、映画監督のフランシス・フォード・コッポラとの縁も深かった石岡は、コッポラの依頼で映画『ドラキュラ』の衣装をデザイン。1993年の第65回アカデミー賞で、衣裳デザイン賞を受賞するに至るなど、アメリカでも華々しいキャリアを築いていく。
映画『ドラキュラ』の衣装のためのスケッチ(1992年)
そして最終章「Borderless:未知をデザインする」では、晩年の15年間に手がけた仕事を中心に展示される。
この頃の石岡は映画の衣装デザインだけでなく、冒頭のシルク・ド・ソレイユのようなサーカス、ビョークやグレイス・ジョーンズなどのミュージシャンの舞台美術やミュージックビデオ、コンセプトメイキング、そしてオリンピックにおけるウェアや開会式のコスチュームを手がけるなど、あらゆる分野のクリエイティブを手がけていった。