【立川志らくインタビュー 前編】10回目となった師走恒例の独演会で「芝浜」を
気にする必要はないんだけれども、これがわたしの本業だ、やりたいのはこれなんだ、落語を辞めたわけでも何でもないということを、改めて伝えたい。それはまた、より多くの落語を知らない人に来てもらって、落語のファンを広げるという意味でも、絶好のチャンス。「グッと!ラック」という自分のホームグラウンドの番組を持つことができた結果、落語に触れてない人がたくさん来る可能性がある。そこで「芝浜」をかけるというのは、意味があることだと思ったんです」
『グッとラック!』がはじまって以来、「月曜日から金曜日まで、夜の10時過ぎには寝て朝5時に起きる。芸人にあるまじき規則正しい生活」と笑うが、では、その規則正しい新生活は、芸人の人生にとって、どんな肥しになっているのだろうか。「かつて談志が言った言葉を思い出します。談志は立川流を作って、寄席に出なくなって、ひとつだけ後悔があると言ったことがある。その後悔とは、今ある出来事をタイムリーにその場でしゃべることができないということ。
寄席があると、その日の夕方に起きた事件を、その日の夜の8時過ぎの出番で「おれはこう思っているんだ」と話すことができた。そのことに関しては寄席っていうのはありがたかったな、と談志は言っていた。