2023年5月26日 18:00
【インタビュー】村井良大 「とにかく若い人に観てもらいたい」ミュージカル『生きる』はどの時代でも響く作品
そのなかで光男が葛藤していく、という構造になっていたのですが、2020年版は、光男が父である勘治のことを思いやらない息子に仕上がって、ますます勘治が可哀想と思えるようになったんです。これは亞門さんが「いや、よくよく考えたら、息子は父親のことなんて別に大切にしないよ」とおっしゃって、確かに、と僕も思いました。
――きっと、自分の未来が優先ですよね。もちろん自分の未来のほうが大事ですし、それに、男同士ってあまり会話しないんですよね。
――そうなんですか?
「元気か?」「うん元気」、終わり。
――終わり!?
僕はもうちょっと話しますが、男同士って「お前、仕事はうまくやっているのか」「うん、やっている。頑張っているよ」「ああ、そうか。ならいい」みたいな。
それが普通です。深く語らず「お前、男だろ、男だったら自分でなんとかしろ」っていうのが、やはり根底にあるんです。
――己でなんとかする。誰かに相談するとか、思っていることを言うとかじゃなくて。
そうですね。だから、男の役者同士で飲みに行っても、なんにも……(苦笑)。芝居の深い話みたいなのは、あんまりしないです。
――芝居論をみんなでしているのかと思いきや、そうでもないんですか。