『お母さんが一緒』江口のりこ・内田慈・古川琴音の三姉妹バトル、ここまでヤレばむしろスッキリ!橋口亮輔監督9年ぶりの新作──【おとなの映画ガイド】
宴席で結婚発表を母へのプレゼントに、というアイデアで、彼氏を旅館によんでいたのだ。母が喜んでくれて、めでたしめでたし! の、はずだったのに……。
気づけば、物語は盛大な姉妹喧嘩の修羅場と化す。三人は、これまでのわだかまりを一挙にはきだす。それぞれをなじりあいながら、考えている結婚観、人生観、そしてずっと抱えてきた気持ちを吐露する。「母親みたいな人生を送りたくない」というのが共通の思い。たぶん騒ぎの元凶であろう母は、自室にこもって姿はみせない。
三女の彼氏・タカヒロ(ネルソンズの青山フォール勝ち)はいいとばっちり。
でも彼は、なんとも人のいいナイスガイ。ドラマ全体でも、彼の存在がいいクッション役になっている。
三人の女優の“演技バトル”も、みどころだ。
最初は、『恋人たち』のように、ワークショップから新人のキャストを選ぶ方式を考えたが、原作が舞台作品のため、セリフも多く、力のある俳優で作るべきと思い直してキャスティングされた。
中心となる長女役には早くから江口のりこの名があがっていたという。ダメもとで、超人気者の江口にオファーしたところ、「橋口監督の作品なら」と脚本も読まずにOKがでた。