『お母さんが一緒』江口のりこ・内田慈・古川琴音の三姉妹バトル、ここまでヤレばむしろスッキリ!橋口亮輔監督9年ぶりの新作──【おとなの映画ガイド】
次女役の内田慈は、原作の舞台でもこの役を演じている。橋口作品の『ぐるりのこと。』で映画デビューし、『恋人たち』にも出演している。
長女と次女は常日頃から軽い口喧嘩をしていそうだが、三女はみんなにかわいがられている存在。
三女役の古川琴音は、初の橋口作品出演。映画『言えない秘密』ではSixTONESの京本大我と、この夏のドラマ『海のはじまり』ではSnow Manの目黒蓮と共演。ことしの顔のひとりといっていい。
この3人がひたすらしゃべり、はてはつかみ合いのバトルまで繰り広げる。その本音のぶつかりあいがハラハラさせ、かつ楽しい。
なかでも、江口のりこはでてくるだけで、場をさらう。黒縁のめがね。鼻になにやら白い絆創膏のようなものをつけ、登場するなり、不気味オーラを発散する。うっくつを全身で表し、人の話をきかず、相手批判を速射砲のようにくりだす……。実際に近くにいたら大変だが、映画なら安心してなすがままを愛でられる。
見終わると、たぶん、自分の家族や親戚、身内のなかで、うっとうしい、面倒な誰かのことを思い出す。そして、まてよ、自分がその誰かではないだろうなと胸に手をあてて、そうでないことを願う。