劇映画でしか描けない“真実”。『テッド・バンディ』監督が語る
その矛盾に対する明確な説明をいまだに私は持っていません。邪悪さは私たち人間の一部にあるものですから……“誰のことも絶対に信頼するな”とは言わないけど“盲目的に信じてはいけないよ”とは言いたい。でもその境界がどこにあるかと問われると……答えはないんですよね」
バリンジャー監督は何かを断罪したり、まるで自分が神でもなったかのような視点で事件を語ったりはしない。この映画の物語はあなたを導き、誤解させ、勘違いさせ、先入観を与える。そして少しずつヴェールは剥がれていき、邪悪な面が顔を出す。その時、あなたは何を感じるだろうか?
「ですから、この映画ではテッド・バンディを描くのと同時に、リズを支える友人を描くことが必要でした。人間は誰しもが優しさや温かさを表現できる一方で、自己中心的で邪悪なものを表現できる。そのふたつはどちらも人間の中にあるものです。
人間には悪もあれば、善もあるのですから」
『テッド・バンディ』
12月20日(金)よりTOHO シネマズシャンテほか全国ロードショー