2023年6月16日 20:00
尾上右近「純度100%の歌舞伎愛を伝えたい」 自身の限界に挑む自主公演『研の會』に込めた思い
撮影:興梠真穂
歌舞伎界のプリンスと呼ばれ、古典歌舞伎はもちろん『ワンピース歌舞伎』、そして今年7月に控える「新作歌舞伎『刀剣乱舞』」などでも主要な役を任され、ドラマ、映画、ミュージカルと多彩に活躍している尾上右近。彼が2015年から続けている自主公演『研の會』が今年も上演される。右近が未経験の名作に積極的に挑戦する場だが、第七回である今回は、任侠に生きる浪花の男たちの濃厚な人間ドラマが見どころの『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』と、女形舞踊の最高峰『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』。「自主公演でなければこんな大変なことはできない充実した内容。自分で決めておいて途方に暮れている」というほどの大作2作に挑む右近に話を聞いた。
歌舞伎を通じて愛を学ぼうとしている
――自主公演『研の會』も七回目。もともとどんな思いで始めたものなのでしょう。
10代、20代の頃はなかなか主役をやらせてもらうことなどなく、自分からその機会を作らねばという思いがありました。それを叶えるには自分で公演をプロデュースするしかない、と始めたのがこの『研の會』。「僕を見て!」という思いがスタートですね。