くらし情報『尾上右近「純度100%の歌舞伎愛を伝えたい」 自身の限界に挑む自主公演『研の會』に込めた思い』

2023年6月16日 20:00

尾上右近「純度100%の歌舞伎愛を伝えたい」 自身の限界に挑む自主公演『研の會』に込めた思い

今のフレーズ、見出しにしていいですか。

してください、してください(笑)。もうね、愛って本当に海と同じで、広くて深く澄んでいるものだから、溺れないようにしないと……。

――止まりませんね(笑)。右近さん、言語センスとサービス精神が素晴らしいですよね。

僕ね、退屈が一番嫌いだし「面白くない」が一番の罪だと思っているフシがあるんですよ。喋ることも表現のひとつだと思いますから。

――インタビュアーとしては助かる限りです!

歩けなくなるまで“出し切る”のが理想

――右近さんの近年のご活躍ぶりから、長年の歌舞伎ファン以外にも、歌舞伎を観始めたばかりのお客さまもご覧になるかと思います。
改めて今回の演目である二作について教えてください。まず『夏祭浪花鑑』は。

『夏祭』は市井の話ですが、ある意味武家社会にも似た、義理や人情といった“自分の命よりも大切なもの”がある社会の中に生きる団七という懸命な男が主人公。そこに義理のお父さんが悪役として絡み、物語が生まれる。「舅殺し」と呼ばれますが、ふとした過ちから親を殺める、単純に言えば「事故が事件になっちゃう」話。でも実は上演しない場面も含めるととても長くスケールの大きなお芝居で、お家騒動なども絡み、忠義など昔の日本人の美学がふんだんにつめこまれています。

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