2021年8月26日 12:00
Ensemble FOVE坂東祐大インタビュー/集まって演奏するだけではなくステージを作り込むこと。それがクラシックでもできることを証明したい!
我々が目標とする“新しい価値付け”においては、ホールではない所から始めた上でホールに戻ってくるほうが良いのではないかと考えたのです。様々なことを試した結果をホールに持ち帰る。それが面白いんじゃないかというのがみんなの意見でした。
――今回いよいよ機が熟したということですね
その通りです。ホールでも面白くできるという感触が得られました。2020年2月の公演だったかな。これだったらホールでやってもいいという手応えをメンバー全員が感じたのです。
そのポイントは、アクティブかつ自由な配置やコンセプトが見えるようになったことです。
メンバーは普段クラシックのフィールドで活動しているので、ホールでの演奏というのは普通の状態です。それを別の場所で違う目線を持って演奏することによって、改めてホールの面白さや、持ち込むアイデアを発見するという戦略的な意味もありました。
中でも一番重要なのは聴衆との関係値ではないかと思います。なにしろ30センチくらいの距離で演奏することもありましたからね(笑)。コロナ禍の今ではそれは難しいという、現実的な問題もありますね。
ステージ全体が1つの物語のようになっている感じ
――“シアターピースのように仕立てる”という言葉の意味は?
クラシックの通常の公演では、誰かがプログラムをキュレーションして、そのプログラム通りに演奏するというのがひとつのスタイルです。