2023年8月2日 07:00
松下洸平×栗山民也 忘れてはいけない、今も起こり得る記憶『闇に咲く花』
“戦地”なんて言葉がものすごく生々しく響いて来るよね。
松下(深く頷いて)はい。
栗山そういう意味で、稽古場ではちょっとラジカルになるかな。日本人はのんびりした感覚でいるので、忘れてはいけない、今も起こり得る記憶だと認識する、その役割を果たすまでやり続けないといけない芝居だなと思います。
「健太郎は確かに帰って来た」という現代演劇としての結論
――松下さんは今稽古場で、健太郎をどんな人物として立ち上げようと考えていらっしゃいますか。
松下そうですね。まだこれからの稽古でより探っていく段階ではあるんですが……。本当に野球が好きで、自分の生まれ育った環境も愛していた。
だから戦地でさまざまな経験をして帰って来た時に、そこが焼失してしまっていることへの怒り、悲しさ、寂しさが大きくて。すごく無垢な、純粋な青年で、栗山さんが稽古場でよく「スポーツマンらしい快活さ」とおっしゃっているので、そういう姿、野球を愛する熱い部分をこれからしっかり見つけていかなきゃなと思っています。
栗山井上さんは、いろんなところから原稿を催促されて、本当ならずっと書斎で書き続けなきゃいけないのに、高校野球の中継をコッソリ観ていたんだよ。