追悼 三浦春馬、個性派を志向し続けた「老成」のひと
しかし2009年のドラマ『サムライ・ハイスクール』で時おり武将の霊がおりてくる草食系男子というユニークな役柄に挑んだり、2011年のドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』では年齢的にはじめての教師役を好演したり、映画でも2010年にいかにもファンタジックで優しい二枚目を映画『君に届け』で演じたそばから、2011年の映画『東京公園』では青山真治監督の澄明な作家的世界観のなかでのびのびと主演をつとめたり、単なる二枚目俳優におさまらない振れ幅を追求しているのがよくわかった。そんな意味で、私にとっての三浦春馬は、ひたすら主役のステイタスを志向するスタア俳優ではなく、主役であれ脇役であれ役柄の面白さを第一義とする「個性派俳優」なのであった。
『コンフィデンスマンJPプリンセス編』(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会
この後も2013年のドラマ『ラスト♡シンデレラ』でそつなくラブコメをこなしたかと思えば、その製作陣に三浦が提案して実現した2014年のドラマ『僕のいた時間』では難病と闘い懸命に生きる主人公を熱演し、さらに2016年にはカズオ・イシグロ原作の異色作『わたしを離さないで』でも印象深い演技を見せた。