くらし情報『巨匠ミシェル・オスロが新作『ディリリとパリの時間旅行』にこめた想い』

巨匠ミシェル・オスロが新作『ディリリとパリの時間旅行』にこめた想い

絶対に世界でうけないからアフリカを舞台になんかするなとも言われた。とにかくプロデューサーには不評だったんだ。僕自身が原画を書くんだけど、それを見て、これは動画にできないし、映画になんかならないともいわれた。毎日、プロデューサーのクレームと戦っていたよ(苦笑)」

こんな指摘も受けたという。

「赤ん坊の男の子は性器を出しちゃダメ、ちゃんと隠さないとと(笑)。大人の女性はちゃんと胸を隠せといわれたんですよ。僕は小さいころ、アフリカで暮らしたことがある。そこでは、子どもたちは裸ん坊で暮らしていた。
僕にとってはきわめてノーマルなことで、『キリクと魔女』はその経験が基になっている。幼少時代にみたアフリカの営みは、ほんとうに人間たちが人間らしく気持ちよく生活を営んでいて、誰もがみな善良で好意的に暮らしていた。僕は子どもながらに、そういう生活と人々にある種の美しさを見て感動していた。

だから、そのとき、僕がアフリカでみた人であったり、風景をそのままアニメに映し出したかった。それを恥ずかしく思うなんてどうかしているよ。あと、出産シーンに関しても問題視された。これはアフリカの民話にもとづいているんだけど、その民話の大胆な発想と生命の誕生の瞬間に感銘を受けて、ぜひ取り入れたいと思ったんだ。

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