巨匠ミシェル・オスロが新作『ディリリとパリの時間旅行』にこめた想い
最初の友人オレルと行動をともにする中、ディリリはさまざまな人々と出会う。
「小説家のマルセル・プルーストや彫刻家のオーギュスト・ロダンなど、さまざまな文化人、その道のエキスパートたちが登場します。これほどの人物たちがひとつの街にいたことはほかにないのではないでしょうか。彼らはいずれも自ら努力をして何かを生み出して自分たちの才能を開花させている。そして、彼らの存在や作品はのちの社会でシェアされ、なんらかいい影響を及ぼしている。そのことを伝えたかったのです」
それは、アートの力及びアートの存在意義がこういうところにこそあるんだと示しているようにも映る。
「もちろんわたしはアートの力を信じています。そのメッセージが込められていることも確かです。
ただ、わたしはそれだけではなく、たとえば医学の分野の進歩、自動車の発明なども作品内に盛り込んでいます。それはそうした優秀なエンジニアの力も大きな力になることを伝えたかったんだ。文明の発展は、使い方を間違わなければ悪に抵抗する大きな力になる。だから、それを生み出す名もなき技術者や専門家にもエールを送りたいと思ったんだ」
そうした骨太の物語が用意されている一方で、アニメーション映像もいい意味で遊び心とチャレンジがいっぱい。