巨匠ミシェル・オスロが新作『ディリリとパリの時間旅行』にこめた想い
でも、このシーンが入ると英語圏では年齢制限が入ってまたセールスにかかわるから、外したほうがいいというんだ。このときももう批難の嵐で、プロデューサーに“破産させるのか”ともいわれた。でも、僕は一切譲らなかった。もしかしたらプロデューサーのリクエストに応えられない自分はプロとはいえないのかもしれない。でも、そんな映画ビジネスのプロフェッショナルじゃない、素人考えの作者が作った作品が世界中に気に入ってもらえたんです。映画はわからないですよ(笑)」
実績もつくって今回の制作はさぞ順調と思いきや、そうでもなかったようだ。
「今回の作品のオープニングショットを見てくれればわかるんだけど、女性が胸を出しているシーンがある。プロデューサーに言われたよ。
“また胸を出したな”と(笑)。今回はディレクターズ・カット版を作るの許すから、レーティングにひっかからない胸を隠したアメリカ版バージョンを作ってくれといわれてね。それには応じた。さっき確認したら、日本ではオリジナルのバージョンとのこと。僕としてはそのほうがもちろんうれしいよ」
今回の物語は19世紀末から20世紀初頭、世界中からさまざまな才能がパリに集ったベル・エポック時代が背景。