しがない四十男がワインと人生の“飲み頃”に気づくまで 『サイドウェイ』ゲネプロレポート
撮影:岩田えり
3月20日に開幕した舞台『サイドウェイ』のゲネプロを鑑賞する機会に恵まれた。
2005年の米アカデミー賞5部門にノミネートされ、最優秀脚本賞を獲得した映画『サイドウェイ』。原作者レックス・ピケットが手がけた戯曲で舞台化された本作が、箱庭円舞曲を主宰する古川貴義の日本語上演台本・演出によって繰り広げられる。40代に突入し、人生の転機を迎えた中年男・マイルスとジャックの旅路がバディ・ロードムービー的に綴られる。
結婚を控えた友人ジャックのために、一週間にわたるカリフォルニアのワイナリー巡りを企画したマイルス。「独身最後に女の子を“テイスティング”する」と豪語するジャックに対して、純粋にワインを愛好するマイルスは呆れ顔だ。このバチェラーパーティーに対するふたりの温度差もさることながら、行く先々で出会う女性陣とのかけ合いが何とも味わい深い。
ワイン好きの脚本家マイルス役には藤重政孝。夢である小説家として突き抜けられず、バツイチで元妻に未練のある屈託にまみれた役どころをリアルに造形する。口に含んだワインの取り扱い方や、皮肉混じりに講釈を垂れる姿は特に「こんなおじさん日本にもいて、蘊蓄語り聞いたことある!」