2021年9月17日 12:00
いま最も聴くべきメゾ・ソプラノ脇園彩のロッシーニ《チェネレントラ》!新国立劇場のオペラ新シーズンまもなく開幕
私、ロッシーニの大編成の重唱が大好きなんです。ものすごく厚みがあって、しかも緻密。それが、「細かく計算して書いてます!」っていう感じでなく、とても自然なのが粋(いき)ですよね。心躍らされるというか。聴けばとにかく圧倒されると思います。
たとえば《ランスへの旅》には14声の重唱がありますが、それが14人のコーラス隊ではダメ。一人ひとり、テクニックも色もあるソリストたちが集まって、それぞれの色を消すのではなくて、むしろ原色のまま、極彩色を出しまくって、それでみんながひとつの音楽を作るから、ものすごいエネルギーが出るんだと思うんです。
個性を出しつつ、一つのものを作る。
これは、多様性を受け入れながら、みんなで世界をよくしていきましょうという、今の社会の流れに、すごく繋がっているような気がします。現代はロッシーニの重唱に学ぶことが、けっこうあるのではないでしょうか。
新国立劇場『チェネレントラ』稽古風景
――今回、粟國淳さんの演出は、舞台を1950~70年代のハリウッドやイタリア映画黄金時代のチネチッタ(ローマ郊外の映画撮影所)のような映画撮影所に設定したもの。すでにローマで衣裳合わせをしてきたそうですね。