教育を問い直す、東京デスロックの新作『Anti Human Education』
進学や結婚などのライフイベントや日々の労働、食事に至るまで、「日本人」の暮らしをさまざまな「儀式」として見せた『CREMONY』(2014年)、「平和」をめぐる演説や詩をコラージュした『Peace (at any cost?)』(2015年)など、演劇の手法を使い、私たちが生きる社会を捉え直し、思考する場を仕掛けてきた東京デスロック。ここ数年は、東日本大震災後の日本とチェーホフが描いた革命前夜のロシアを二重写しにした『亡国の三人姉妹』(2016年)や同じくチェーホフの『かもめ』を下敷きに韓国の第12言語演劇スタジオと協働した『カルメギ』(2013年・2018年再演)などの戯曲上演でも、奥行きのある世界観を作り上げてきた彼らが、久々に戯曲を使わず構成のみで取組む新作『Anti Human Education』のテーマは「教育」だ。
そのきっかけとなったのは、主宰で演出家の多田淳之介自身もその渦中にあるという「育児」だ。
「子供が生まれたら、親としては、病気のことから社会にうまく適応するにはどうするかみたいなことまで、いろいろなことを調べるんですよね。そうすると世の中に対して疑問に思ってたことの多くが“教育”にかかわっているなぁと気がついたんです。