「良い、悪い、じゃなくて面白いと言ってくれた師匠」柳家はん治インタビュー
入ってみて大変な世界だったのがやっとわかりましたけど(笑)。
──ご自分で落語をやってみたいと思った具体的なきっかけは。
大学に行って、落研(落語研究会)もあったんですけどね。“なまじ素人で落研の皆さんのように自分でやらないほうがいい”、“もし本当にプロになるなら変な癖をつけてもいけない”みたいなことがそれらしい本に書いてあったんですよね。ですからそれはやらずに、入門するならどの師匠のところに行こうかなあと。寄席に行ってるうちに小三治師匠に出会ったんです。それから師匠を追っかけるようになって。出待ちして、最後には師匠のうちまで入門をお願いに伺って。
1週間ぐらい通ってやっと話を聞いてくれて、しばらく試しにということで“ご両親呼んでらっしゃい”ってことで。それでおふくろ連れ立ってお願いに行った。それが昭和52年ですか、22歳のときに入門して。で、今に至ると。
──何が決め手でしたか。
やっぱりね、好きですね。うちの師匠の、なんていうのかな、落語もそうですけども人柄ですかね。真面目そうで怖いけど“まっすぐ”っていうかね。
もう完璧に見抜かれてますね。そこに魅かれました。
──師匠に弟子入りしてから、思い出深いエピソードを教えていただけますか。