くらし情報『孤独な地縛霊の“眼差し”通じて人間を描く『とりわけ眺めの悪い部屋』山西竜矢×湯川ひなインタビュー』

2021年11月8日 19:30

孤独な地縛霊の“眼差し”通じて人間を描く『とりわけ眺めの悪い部屋』山西竜矢×湯川ひなインタビュー

確か、トイレが汲み取り式のぼっとん便所から水洗に移行したタイミングで、土葬から火葬に変わったらしいんですね。で、養老さんはその流れを指して「人間が見たくないものを排除しようとしている」とおっしゃっていて。死体や老廃物といった、汚いけれど全人類と関わりがあって切り離せないものを、視野に入らないように追い払おうとしていると。たしかに現代でも、映りの悪い写真を加工して肌をキレイに整えたりしますよね。メイク用品も発達して、洋服のデザインもどんどん洗練されていく。自分自身もその影響下にあるな……と実感する一方で脳裏をよぎるのは「人間は、必ず汚い部分を含んでいる」という意識です。忘れたくないし、常に念頭に置いておきたいんです。

だから、物語において、陰惨な悲劇や楽しいコメディももちろんエンターテイメントとしてとても大切なものだけど、創作物がそこに特化した鮮烈なものだけになってしまったら、それは嫌だなと思って。
なので自分は、そのあいだくらいにある、ちょっと気持ち悪いけれど、キレイで素敵なところも描かれている人間ドラマをつくっていこうかな、と。それは今回の『とりわけ眺めの悪い部屋』にも前面に出ているのではないかな、と思います。

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