「表と裏ではないが、ふたりで一人前という自覚があった」、中村憲剛×伊藤宏樹・スペシャル対談【前編】
『そこの木の“幹”をちゃんと太くしていかないと』という話はずっとしていた。だけど、自分ひとりではできないから、育つのを待つしかなかった」
――宏樹さんは自身の引退後のことはどう考えていたんですか?
伊藤「あまり考えてはいなかったですけど、自分の引退は関係なしに、ターニングポイントとしては、風間(八宏)さんが2012年に(川崎フロンターレに)来て、やるサッカーが明確になったことで、憲剛も楽しそうにしていた。そこを突き詰めたことが、今のこのスタイルになったところもあるし、そこについての心配はしていなかったです」
中村「サッカー的なところはね」
伊藤「うん」
中村「振り返れば、最初は、サッカー自体も風間さんになって『大丈夫か?』みたいになっていた。でも、最初のサンフレッチェ広島戦で、俺のアシストから宏樹さんが先制点を取ったんですよ。不慣れな右SBで宏樹さんが珍しくいい動きをしていてさ」
伊藤「あれ、面白いよね。本当に最初の試合で、みんな(従来の)ポジションと違うところをやっていて。ある意味、今までのフロンターレの概念みたいなものを壊して、一つでもいいプレーができればみたいな感じでやった試合だった。