reGretGirl 『SUMMER ONEMAN LIVE 2024 “ひとりだと思わないためのホール編”』 初めての試みを満載した東京初ホールワンマン公演レポート
続く「グッドバイ」では十九川のファンキーなフレージングが横ノリを誘い、曖昧な関係を歌う曲ながらウエットなムードはなく、バンドのタフさが表に出てきた印象を持った。
続くセクションは背景に映像を流し、彼の心情は歌で、彼女の行動は映像で映し出されるというホール公演ならではの試行が見られた。しかもそのテーマは終わっていく恋。ミディアムスローに乗って、自分の知らない誰かと自分に見せたことのない表情をする彼女を想像して頭がおかしくなりそうな主人公を描く「デイドリーム」。その時おそらく彼女はどんな行動をしていたのかが可視化される映像。続く「白昼夢から覚めて」と合わせて、映画の劇伴を生で演奏しているような新たな挑戦だったが、すれ違いのリアリティにフロアは打ちのめされたのか、控えめな拍手がそのことを語っていたように思う。
映像演出は平部の地元の記憶を辿る「イズミフチュウ」で、まさに当地の映像を流し、特定の場所ながら郊外都市のよく似た風景に不思議と感情移入してしまった。今は東京で暮らす平部は、最初は上京することが怖かったらしいが、今や自分の生きる街としてフラットに過ごせているそうだ。
青春のしんどさや惨めな記憶はほとんどの人にとって地元にあるんじゃないだろうか。