鈴木亮平『ひとよ』インタビュー「どこかでつながっているのが家族なのかもしれない」
大樹という役に対して、誠実に取り組んでいることが伺えるエピソードだ。兄妹のなかで、いち早く“家族”を作った大樹だが、それは“復讐”だという鈴木。
「僕の中で、あれは、親父への復讐なんですよね。“自分は父親とは違う”という証明をしたくて。だからこそ、早く結婚して幸せな家庭を作りたかった。だけど、何が“幸せな家庭”なんて知らないから、上手く行かないんです。今でも父親を強烈に意識して生きている。おそらくは3人の子どもの中で1番。
悲しいですよね」
観る者の家族観に訴えかけてくるような本作。様々な立場によって、印象が変わってくる作品だ。
「僕の友人で、離婚を経験した人は大樹の目線でしか、この映画を観ることが出来ないと言っていました。僕の周りでは、こはる、お母さんの目線の人も多かった。そういう方は“痛いほど気持ちがわかる。子どもたちはどうしてわかってあげないんだ”とおっしゃっていて。無論、雄二や園子の視点で観る人もいます。そういう映画ですよね。
完全に分かり合うことは出来ないけれど、どこかつながっているのが家族なのかもしれないですね」
『ひとよ』
全国公開中
撮影/奥田耕平、取材・文/藤谷千明