くらし情報『キース・へリングがNYの地下鉄駅に描いた理由とは? 密着取材で見た「サブウェイ・ドローイング」の現場(文:村田真)』

2023年12月22日 17:00

キース・へリングがNYの地下鉄駅に描いた理由とは? 密着取材で見た「サブウェイ・ドローイング」の現場(文:村田真)

キース・へリングがNYの地下鉄駅に描いた理由とは? 密着取材で見た「サブウェイ・ドローイング」の現場(文:村田真)

密着取材時に村田が撮影した地下鉄の掲示板に描くキース・へリングPhoto by (C)Makoto Murata
地下鉄でのグラフィティも密着取材できた。当時のニューヨークの地下鉄はホームレスがたむろし、車内は落書きだらけで、暗い、臭い、危険の3Kだった。キースは自分の乗った電車がホームに入るとじっと目を凝らし、広告の黒い空きスペースを探す。広告提示版にポスターが貼っていないときは黒い紙に覆われているのだ。見つけたら一目散に駆け寄り、周囲を見回しながらポケットからチョークを取り出してササッとためらいなく描いていく。ものの1、2分で描き上げ、振り返ることなくサッと立ち去っていく。それをカメラに収め、あわてて追いかけるぼく。当時ニューヨークの地下鉄は危険だ、夜は絶対に乗っちゃダメといわれていたのに、毎晩乗って追いかけっこしていた。
おもしろかったなあ。

その後何度か来日し、瞬く間に世界的な人気アーティストに上り詰め、そのままの勢いで1990年、わずか31歳の若さで天国にまで行ってしまった。その人気の秘密は、単純な線描と明快なメッセージ性にあるだろう。しかし、最初は子供っぽいと思っていた絵柄も、よく見るとUFOから電波が飛んでいたり、人間の胴体がバネのように螺旋を描いていたり、男性器もしばしば登場したりしてかなりグロテスクであることがわかる。

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