三谷幸喜×西島秀俊が語る“男の小ささ”「天ぷらそばで勝ち誇った自分が小さいなと思いました」
5人の男たちの中で最も感情移入しやすいのが草野だと思うんですよ。
西島そうなんですか?いちばん感情移入しにくそうですけれど。
三谷さすがに誰も小林隆の視点では観ないじゃないですか(笑)。お客さんが寄り添いやすいのは、やっぱり草野。変わった男ではありますが、彼の気持ちというのはよくわかる。なので、お客さんと寄り添えるお芝居をきちんとできる俳優さんということで、西島さんにお願いしました。実際、それは正解だったと思います。
西島草野はすごく神経質な人なんですよね。
だから正直なところ、あまり観客の皆さんが感情移入できないだろうなと思いながら役をつくっていたので、今、三谷さんに言われてびっくりしました。
三谷確かにどちらかというと嫌なやつだし、困ったやつなんですよ。でも、そういう人物をやらせてみたいという何かが西島さんにあったんですよね。実際、草野が面倒くさい男だからこそ刑事として真相に辿り着いた。そういう意味では、彼を主人公にした刑事物をつくってもいいぐらい、西島さんが演じることでキャラクターが成長してくれたなと思います。
西島別れた妻の昔の夫が一堂に集まる中、草野はつい他の男に勝ちたいと変な見栄を張ってしまう。